パイプ加工:材料の展開寸法の求め方と端末加工について
本記事では、パイプ加工の流体の移送についてご紹介しています。ぜひご覧ください。

前回の技術コラムでは、「パイプ材の目的に合わせた選定方法」について解説させていただきました。
本編では「材料の展開寸法の求め方と端末加工について」について解説させていただきます。
まだ、「パイプ材の目的に合わせた選定方法」について、ご覧になっていない方は下記リンクよりご確認ください。
製作するパイプ部品の加工工程は「工作検討」により、加工方法・加工設備・工程順を決定し製造します。具体的には、お得意先の図面に記載されている材料を基に加工工程を決めていきます。この時には保有する設備の加工能力を考慮し「切断加工」「端末加工」「曲げ加工」「溶接」「ろう付け」の各工程を配置していきます。この時に、部品の機能を損なわず、部品形状を変更し加工工程の短縮が出来る場合にはお得意先の承認を得て変更を行うこともあります。
部品の加工が終了すると、完成したパイプ部品は洗浄を行い、溶接やろう付けの酸化スケール、フラックスを除去し、防錆処理や要求により表面処理を行い出荷となります。
パイプ部品の初工程は材料の切断加工になります。切断寸法は材料歩留まりの観点から重要な寸法となります。パイプ部品の大半は曲げ加工を含む形状で設計がされており、切断寸法を決める上で必要となる「曲げを含む展開長さ」を求める必要があり、この求め方を下図に示します。
展開長さ“L”は、曲げ部と直線部に分けて考えていきます。直線部である下図中のA,Bはそのままの長さになります。この寸法に曲げ加工部の長さを足していくわけですが、曲げ加工を行うことで、内側は、圧縮され、外側は引っ張られますので単純に中心軸の位置で計算すると展開寸法は実際の長さよりも長くなってしまいます。そこで、中立軸の移動率 (量)“λ”(内側へ移動)を掛けることで補正をします。この中立軸の移動率は、パイプ径に対し20~45%あたりの数値になるとされていますが、具体的な値は、曲げ加工条件により変わりますので加工設備や金型毎に調査し設定する必要があります。
曲げ加工を含む展開長さの求め方は以上の様になりますが、2か所以上の曲げが含む場合には曲げの場所ごとに合わせて計算を行います。また、1次切断長には端末加工時の加工後の寸法変化や曲げ加工時の掴み代を加味しておく必要があり、曲げ加工後に不要な部分は切断し長さを整えます。パイプの切断長さの設定ができたら、実際に曲げ加工を行い、図面通りの形状に曲げることが出来るかを確認し、問題が有れば切断長さの再調整を行い最適な展開長さを求めます。

パイプの展開長さが求めた後、切断を行います。切断機械は「のこ盤」「バンドソー」「旋盤」「砥石切断」などが有り、定尺材(全長2000~4000㎜)の材料を自動投入し必要数を切断するものもあります。また、パイプ材の切断後には、切断端面の仕上げ(バリやエッジの除去)を行い、切断した材料の内外の切粉などが無いように除去作業を行います。特に、分岐配管等の枝管の端面はパイプ形状に合わせた端面加工を行う場合もあり、切粉が発生しますのできれいに除去し、次工程以降で切粉が嚙みこまない様にしておく必要があります。
板厚の厚いパイプを溶接する場合には、接合部に開先を取り「貫通溶接」が出来るように前加工を行います、この際にも切粉の発生が起きますので注意が必要となります。切粉の除去について、大きなものよりも微細なものの方が有害であることも気を付けておく必要があります。
最近のトレンドで、レーザを用いた切断や穴加工があります。パイプの組合わせ時に、予め“ぴったり”と接する形状に端面を切断する。分岐配管の接合部の穴あけにレーザ加工機を使用するなどがあります。レーザ加工によるメリットはNC制御で加工するため加工精度が高いことや、パイプ中央部に穴あけを行う場合にも接合形状に合わせた穴あけができる所にあります。デメリットとしては、レーザ切断時のスパッタや、粉塵がパイプ内部に付着することが有ります。溶けた金属がパイプ内に付着する場合には材料表面に食い込むように付着するため取りにくく、安定した除去方法を検討する必要があります。また、レーザ加工機の仕様にもよりますが、切断ができるパイプサイズの制約や、材質についても、CO2レーザの場合には銅パイプの切断は出来ないためファイバーレーザ機を選定するなどがあります。
パイプ部品の接続は、パイプ端に管接手やユニオン、袋ナットを「ろう付け」や「溶接」などにより取付け接続する方法と、パイプの端末部に膨らまし等を施す「端末加工」による場合が有ります。ここでは、後者のパイプ端末加工について説明したいと思います。
端末加工機の多くは油圧による成形を行うもので、構造はパイプを上下に固定するクランプの機能と、パイプの端部を成形するパンチを前後方向に移動させる機能を併せ持った加工機になります。また、パンチは複数工程の加工を行うため、パンチホルダーは移動し加工が出来るようになっています。
端末成型機の形状は「横型プレス機」でこれは長尺のパイプ材の端面を加工するための構造になります。よく似た構造の設備にパーツフォーマーが有ります。円筒形状の部品を高速(120~350rpm)で鍛造加工する設備で、代表的な加工品にはボルトがあり、線材を加工しボルト形状に鍛造成形加工をするもので、クランク軸をもち高速加工でプレス加工をできます。
端末加工時のダイス、パンチ、ワークの設備への取付け状態を下図左に示します。設備は図示していませんが、パンチ、ダイスは、それぞれの設備の部位に取付けされている物と見てください。加工時の状態は下図右に①~④で記載しました。①ワークセットでは、図中に示す様にダイスに対しワークの出代が重要となります。不足していると膨らんだ形状が小さくなり、出すぎると膨らまし形状が“いびつ”になったり、成形位置の“ズレ”などの現象が発生します。②ワーククランプをしますとダイスによりワークが固定されます。この時の固定力が不足すると加工時にワークが滑り成形が出来なくなります。固定力を高める方法としてダイス内にコーティングを施す、内径を小さくするなどの方法が有りますが、やりすぎるとパイプのクランプ部で変形するなどの現象が発生しますので注意が必要となります。③成形でパンチが前進しパイプ端面の成形が行われます。基本パンチがダイスに接したところで加工圧が上昇しリミットに達したところで加工が終了します。④アンクランプにより、ワークがダイスより取り外しが可能となります。

代表的な端末加工の例を下図に示します。ビード加工やダブルビード加工はホースの抜け止めに使用されることが有ります。フレア、ダブルフレア加工は高圧シールに採用される加工で特にダブルフレア加工は、より信頼性が必要な燃料配管の接続部に多く使用される加工になります。バルジ、テーパー、拡管、スェージング、フランジ加工も同様にパイプ同士の接続に使われる端末加工になります。
また、スェージング加工とバルジ加工を組み合わせた形状を成形する場合や、拡管加工と先端部の丸め加工を組み合わせるなどの加工もあり、成形パンチの組み合わせることで様々な端末成型を行うことが出来ます。

〈パイプ部品の要求品質の変化〉
産業用機械やエンジンには配管部品が多数使用されています。燃料、潤滑油、冷却水などの液体を循環させ稼働するわけですが、時代の変化により特にパイプ内の“ゴミ”すなわちコンタミネーション(以降コンタミ)に対する考え方も大きく変わってきました。パイプ本来の機能である「漏れない」「流れる」から、パイプ内のコンタミゼロが要求され、よりクリーンなパイプ部品を要求されるようになりました。これに伴い、フラッシング工程の追加やエアーブローの追加などにより汚染物質を排除する様になりました。
特に産業機械用ディーゼルエンジンでは、燃料のコモンレール化(2000年代)により使用圧力が300~800気圧であったものが1500~2000気圧と高圧になり、燃料を噴射するインジェクターの内部の数μmの隙間は微細なコンタミにもシビアに反応する様になりました。この様にパイプ部品は時代の変化に伴い高清浄度が要求されるようになってきています。
材料の展開寸法の求め方と端末加工について解説しました。
弊社では高精度なパイプ曲げ加工から複雑な端末加工まで、難度の高い技術に幅広く対応しております。
蓄積されたノウハウと独自の治工具・設備を駆使し、三次元複雑形状の燃料配管や潤滑油配管等の製造を行っております。
さらに、近年ご相談が増えている水素やメタノールは引火性が高く安全対策として二重配管を必要とされます。
このような高機能なパイプ部品も、確かな品質でお応えします。
「他社で断られた難しい形状」や「図面段階からの技術検証」がございましたら、当社へお気軽にご相談ください。
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