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板金加工: 曲げ加工について(前編)

今回からは板金加工の曲げ加工について説明していきます。

板金加工の曲げ加工では、曲板機を使用した加工を行います。

曲板機は色々な呼ばれ方がされ、「プレスブレーキ」「ベンディングマシーン」「ブレーキプレス」「ベンダー」が代表的な呼びの様ですが全て「曲板機」を示したものになります。

一般的にはⅤ曲げ加工が主流ですが、取付ける金型によりL曲げ、ヘミング曲げにも対応ができます。

また、曲板機の特徴は曲げ長さが10㎜程度から1000㎜超えまで対応できるところにあります。

一般的なプレス機の場合には、ボルスターの全幅を超える様な曲げ加工は行いませんし、例えばボルスター以上の長さの曲げ型を取付けても荷重が分散され正確に曲げる事ができません。

曲板機の場合にはパンチ、ダイスを組合せることで、必要な長さの曲げ加工を可能とする専用機になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上写真は弊社が導入している曲板機ですが、ブレーキ用の金型は矢印(白)の範囲に取付ける事ができ、この範囲で曲げ加工をする事ができます。

製品形状により、パンチ/ダイスの長さの組合せを作り複数工程の曲げを1台の機械で行う事もできます。

また、上図右は曲板機によるⅤ曲げ加工例ですが、ワークをバックゲージ当てた状態で保持し、フットペダルを踏むことでパンチが下降し曲げができます。

この時、パンチの加工する圧力によりワークが跳ね上がるため、パンチがワークに着いた位置でバックゲージは後方へ退避しワークの変形防止をします。

プレス機による曲げ加工の場合には、製品の加工内容に合わせて金型設計を行うため、金型設計の段階で加工する設備(プレス機の加工能力)の選定を行い、金型に係る荷重なども考慮するためプレス加工時には金型をプレス機に取付け、ダイハイトの設定をする事で加工を開始する事ができます。

しかし、ブレーキ曲げの場合には汎用の金型を使用し曲げ加工を行うため、正しい手順を踏まなければ、金型を破損させる、曲げ寸法が出ない、深いキズが発生するなどの現象が発生します。

そこで、板金加工における曲げ加工に必要な事項を説明します。

1,曲げ加工に必要な荷重を計算する。

先にも述べました様に、ブレーキ曲げの場合には汎用金型を使用しますので、曲げ加工に必要な荷重を知っておく必要があります。

下写真は曲げパンチに表示されている金型の刻印ですが、パンチの先端角度(86°)、先端R寸法(R0.2)耐圧MAX:400kN/m(40ton/m)の表示がされています。

「この金型の場合には1m当たり40ton以下の加圧力で使用してください。」となっていますので曲げ加工を行う場合にはこの加工圧力を超えない様に加工する必要があります。

 1)曲げ加工の情報取り
曲げ加工を行う製品の「材質」「板厚」「曲げ長さ」調べます。材質は軟鋼板(SPH、SPC)、
ステンレス材(SUS304、SUS430等)一般構造用圧延鋼材(SS400等)が一般的に多く使用される材料になりますが、最近では高張力鋼板(ハイテン材)も加工される事があります。

また、表面処理鋼板も使用されるケースが有りますが、この場合には表面処理のコードであるSECC、SGCC、GA等がありますが、母材に何を使用されているかが重要となります。

SECC、SGCCは軟鋼板を母材としていますが自動車用に開発されたGA材(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)の場合には自動車の車体に使用する事を想定しているため、引張強度590MPa~1180MPa等の高張力鋼板が使用されている事が有る為、材料に何を使用されているかが重要となります。

 2)板厚から曲げ加工に必要なV幅を設定
材料を確認した後に、板厚の確認を行いますブレーキ曲げの金型の選定においてⅤ幅(ダイスの幅)を決める場合には板厚に対し6~12倍の設定を用います。

板厚に対するダイスⅤ幅の設定表を下表に示します。

3)曲げ加工に必要な荷重の計算

曲げ加工に必要な荷重の計算は下記の計算式で求める事ができます。

それぞれの加工に必要な条件を代入し求めます、補正係数Cについては1.5を指定していますが、Ⅴ幅と板厚により1.33~1.57まで変化をするため15%程度の誤差が生じます。

下記の計算式では4つの関係が理解し加工圧力を設定する際に考慮します。
1)圧力はⅤ幅に反比例する。
2)圧力は曲げ長さに比例する。
3)圧力は板厚の2乗に比例する。
4)圧力は抗張力(引張り強さ)に比例する。

実際には、図面を受取った後に部品展開を行い、ブランク加工を行う等の手順の中で荷重計算まで行う事は少なくなりましたが、最近ではハイテン材などの高い引張強度の材料も出てきているため、上記の計算により必要な荷重を求める事も発生すると思われます。
一般的には下図の荷重一覧表を使用し求めます。

下図では一般的な軟鋼板と、ステンレス鋼板のものを示します。

下図は1m当たりに必要な加圧力(ton/m)を板厚とⅤ幅、曲高さ(b)、パンチ先端R(ir)で求めたものになります。

下図と先に有った4つの関係を考慮し加工圧力を設定していきます。

4)最小フランジ寸法(V曲げ加工)
Ⅴ曲げ加工を行う場合には先にも述べた様に、バックゲージにワークを当てた状態で加工を行いますが、曲げ加工の出来る最小寸法は板厚と、それに合わせたダイスのⅤ幅に依存します。
また、下図の様にワークはⅤ幅の溝の両端にしっかりとかかっていないと曲げる事ができません。

下図ではワークセットの正常、異常な状態で曲げ加工を行った場合を示しています。

Ⅴ幅の溝の両端にワークが掛かっていないと図のようにパンチに押し下げられ先端のみが曲がる又は曲がらずに変形する様な形状となります。

そこで必要となるのがⅤ曲げによる最小フランジ寸法となります。

下の公式はⅤ幅に対する最小フランジ寸法を求めるものですが、Ⅴ10の金型で曲げる事の出来る最小寸法は7㎜となります。(Ⅴ曲げ型の斜辺の長さと同一になります。)

それでも製品設計の中では極端に小さな曲げ寸法を指定され機能上どうしても守らなければならない場合には、長めに曲げて必要な寸法に削る方法やしごき曲げ型を製作し加工する方法を検討します。

 

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今回は、板金加工における曲げ加工について解説しました。
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