絞り加工工法によりプレス成形加工された製品は、家庭で使われる鍋、フライパン、コップ等から、直接目に触れる事は少ないですが、掃除機や自動車に搭載されるモーターのケースに至るまで色々な分野の部品加工に、活用されている成形工法です。絞り加工には、円筒絞り加工、角筒絞り加工、異形絞り加工、円錐絞り加工、球頭絞り加工、ヘラ絞り、しごき加工、対向液圧成形等が有ります。また、絞り加工の工法でも、特殊な設備を用いた成形工法が有ります。
本コラムでは、基本的な絞り加工の工程設計の方法、設備選定について述べていきたいと思います。
また、プレスのせん断加工に関する基礎知識をまとめた技術カタログもございますので、ぜひダウンロードください。
↓ 無料ガイドブック「絞り加工の基礎知識」のダウンロードはこちら ↓
下図の様な、フランジ付きの容器の製作を鈑金工法とプレス絞り加工により想定します。
2つの工法のメリットとデメリットを下表に一例としてまとめてみました。
鈑金工法でも製品形状を製作する事は出来ますが、生産性が低く、大量生産には向きません。しかし、生産準備に掛かるイニシャルコストは低く、試作対応等、最終製品としての機能評価を目的に製作する場合には、有効であると考えます。一方、プレス加工による絞り加工では、生産準備段階で、金型の製作を行うため、イニシャルコストは多くかかります、
しかし、一旦生産準備が整えば、生産性は高く、大量生産向きで、品質も安定した物が供給できると言えます。
絞り加工の基本形状となる、円筒絞り加工に用いる絞り金型の基本的な構成は下図に示す様にパンチ、ブランクホルダー、ダイスで構成されています。下図には示していませんが、ダイス内に製品の押上げを配置し、プレス加工後に製品の排出の機能を持たせる場合も有ります。
各部品の機能は、パンチにより製品を押込んで行くことで、ブランク材が絞られていきます、この際に、ワークはダイスのR部に沿って絞られていきます。
絞り加工時の応力の発生状態に示す様に、フランジ部からダイスR部に掛けて、材料は絞り方向に引張り応力、円周方向に圧縮応力を受けながら成形され円筒部、底部では、引張り応力が働いて成形される為、特に製品のフランジ部にはブランクホルダーにより荷重を掛け、しわが発生しない様に押さえておく必要があります。
このしわ押え力は、強すぎるとワークが金型内に滑り込まなくなる為、円筒部や、円筒部と底部の角R部で割れが発生しますし、また、弱ければフランジ部にしわが発生します。下表に、材質毎のしわ押え力の目安を示します。表を見ると解る様にしわ押え圧力には範囲が有るため、絞り金型には、しわ押え力を調整できる機能を予め設けて置くと良いです。
平板を絞り加工により円筒形状に成形を行う上で、どの様な金属でも、1回で成形できる絞り深さには限界があり、求める製品の形状によっては、複数回の絞り加工を繰り返し、成形を行います。具体的にはブランク材(平板)の「直径」と「絞り率」の関係で絞り直径を算出します。これにより1回の加工で製品寸法に成形できるかが決まります。
1回目の絞り加工時の計算式と、再絞り加工時の計算式を下記に示します。複数回の絞り加工が必要な場合には、下表の絞り率表を参考に設計を行います。
下図の加工例であれば、板厚0.8㎜のブランク材の場合、第1絞り:54% 第2絞り:76% 第3絞り:79%となり、絞り成形が可能となります。
先にも述べましたが、絞り成形が可能となる工程設計と、プレス加工時のしわ押え力の設定も重要な要件となりますので、絞り加工時の絞り率の設定は余裕を持った設定を行う事が望ましいと言えます。
今回は、プレス曲げ加工におけるカール曲げ(カーリング)ついて詳しく解説しました。
当サイトでは、この他にもプレス金型・プレス加工に関するコラムを多数掲載しております。ぜひご覧ください。
>>コラム一覧はこちら
当社は、設計提案から完成品組立までを一貫対応するOEM生産体制、独自技術によるコストダウン提案、さらに大手企業との信頼に基づく実績と、高品質な量産体制など他にはない強みを多数保有しております。
>>当社が選ばれる理由はこちら
プレス金型の設計やプレス加工のことなら、プレス加工をはじめとする金属塑性加工のプロフェッショナルである
弊社髙橋金属にお任せください。
>>ご相談・お問い合わせはこちら
関連情報はこちら
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザタレパン複合機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザ切断」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「外形加工専用機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工における部品展開」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工(工場板金)の全体像」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
今回は、プレス加工:冷間鍛造(後編) 複合押出し、密閉鍛造について紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:冷間鍛造(前編) 型鍛造、前方押出し加工について紹介している記事になります。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐据え込み、修正仕上げ打ち加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐コイニング・ポンチング・刻印加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(縁曲げ(フランジ成形、カール成形)、口絞り成形、矯正及び型打ち)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(エンボス加工、バルジ張出し加工、つば出し加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、張出し加工と絞り加工の違いについて説明をしています。 是非、ご確認ください。
本記事では、角絞り加工時に起こる引けの抑制方法について、説明しています。是非、ご確認ください。
本記事では、深絞り加工の基礎についてご説明しています。深絞りの定義や知っておくべき数値、絞り加工油や絞り金型について解説していますので、ご確認ください。
本記事では、絞り加工のトラブル事例、割れ不良・絞りキズ・底部変形について説明しています。是非ご確認ください。
本記事では、絞り金型と絞り加工のトラブル事例について詳しく解説しています。是非ご確認ください。
本記事では、プレスの絞り加工について、プレス加工のプロフェッショナルが解説いたします。
本記事では、プレス曲げ加工の一つであるカール曲げ加工(カーリング)の種類と加工工程について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
本記事では、曲げ加工において大きな問題となるスプリングバックの原因と対策、そして曲げ加工の種類について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
プレス加工は、目的とする製品形状や品質によって分類することができ、その数は数十種類とも言われています。これらは、パンチとダイで素材を分離するせん断加工と、板材を目的の形状に変形させる塑性加工という2つに大別されます。本コラムでは、せん断加工をさらに細かく分類した8種類の加工法についてご紹介します。
精密せん断加工(英:Precision Shearing)とは、トラブルの元となるダレ・破断面・バリといった断面形状を可能な限り無くし、綺麗な切断面を得るためのプレス工法になります。本コラムでは、4つの精密せん断加工についてご紹介したうえで、その中でもファインブランキング加工と対向ダイスせん断法について深く掘り下げて解説いたします。
本記事では、パイプ加工の中でも難易度が高いとされる3次元曲げと端末加工技術について、パイプ加工のプロフェッショナルが詳しく解説いたします。
プレス加工の一つ、シェービング加工をご存じでしょうか?シェービング加工は、通常のプレス加工では得られないせん断面を得ることができる工法です。本記事では、シェービング加工と板厚の全面にせん断面を得るための加工ポイントについて、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
当記事では、プレス加工の”縁切り型”について詳しく解説しております。縁切り型の特徴や種類、構造について詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当記事では、プレス加工の”分断型”について詳しく解説しております。分断型を使った分断加工のポイントや加工事例についてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当社の高度コア技術である型内ネジ転造加工技術と加工事例についてご紹介しています。生産中の動画もご確認頂けますので、是非ご覧ください!
当記事では、切り込み型について説明しています。ルーバー加工やランスロット加工についても併せて説明していますので、是非ご確認ください。
金属の溶接方法には、アーク溶接やレーザ溶接など、様々な種類が存在します。各種溶接にはメリットやデメリットがありますが、それらを把握することで、適切な溶接方法を選定でき、高品質化及び最適コストの実現が可能となります。 ここでは、様々な溶接方法のメリットとデメリットをご説明させて頂きます!
当コラムでは、QCD全ての面でメリットを提供するネットシェイプとニアネットシェイプを、実現するための理想的な加工法をご説明します。 ぜひご一読ください!
当記事では、穴抜き型についてご説明させて頂きます。
金属塑性加工.comを運営する高橋金属では、11軸・9軸・8軸の多軸溶接ロボットを保有し、大物溶接品の溶接に対応しています。また、大物製品の組立まで対応できるOEM生産体制を構築しています。大物製品のOEM委託先をお探し中の皆様、お気軽に当社に御相談ください。
当技術コラムでは、せん断加工の中で基本的な加工である打抜き加工に使用される、打抜き金型ついてご説明します。
プレス加工の分類において、「素材の分離」に属する、せん断加工を行うための切断金型についてご説明します。
今回の技術コラムでは、プレス金型の設計に焦点を当て紹介をしていきたいと思います。
金属における加工方法の一つである鏡面加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたしますので、参考にして頂けますと幸いです。
金属における加工方法の一つである塑性加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたします。
溶接方法の中でもメリットが多いとされるロボットによるファイバーレーザ溶接の課題やデメリットについてご説明します。課題を解決する当社のコア技術についてもご説明しますので、是非ご確認ください。
理想的な工法とされるネットシェイプ・ニアネットシェイプを可能とする塑性流動成型加工の一種である冷間鍛造加工についてご説明させて頂きます。
トランスファープレス加工をはじめ、プレス加工工法についてご説明します。当社の独自ラインである、3連トランスファーダンデムラインについてもご紹介しますので、是非参考にしてください。
プレスFEM解析技術、溶接熱歪解析技術を持つ当社が、CAE解析についてご説明させて頂きます。合わせて、FEM解析やFVM解析、当社のコア技術についてもご紹介します。
当社の表面処理鋼板材接合技術を用いることで、メッキを剥がさずにZAM材を溶接することが可能となります。
アーク溶接における溶接欠陥の発生原因を紹介します。