当コラムでは、プレスFEM解析技術、溶接熱歪解析技術を持つ当社が、CAE解析についてご説明させて頂きます。合わせて、FEM解析やFVM解析、当社のコア技術についてもご紹介します。
CAE(Computer Aided Engineering)解析は機械設計のプロセスにおける、コンピュータを利用したシミュレーションや解析の事を示します。機械設計では設計コンセプトを基にして優れた機械の設計を求められますが、従来より更に優れた物を作る為には振動・荷重・熱といった課題を克服する必要が有ります。しかし、近年では開発期間の短縮や、低コスト化を図ることを目的にCAE解析を活用する事が多くなってきています。ここからは、当社が行っているCAE解析を中心にご紹介します。
CAE解析は、溶接熱歪解析、プレス加工解析、構造解析、流体解析等多くの種類が有ります。その解析の方法に応じて解析法もありそれぞれの特長を下記に示します。当社では、有限要素法(FEM)、有限体積法(FVM)を搭載した解析を行っています。
空間を形状に合わせて格子分割し、その格子点上で演算を行う方法です。形状追従性が良好であり、構造系 CAEで一般的に用いられます。
空間を体積格子(CV:Control Volume)で分割し、CV内の代表点で演算を行う方法です。FEMと同様に形状追従性が良好でありCFD(流体解析)で一般的に用いられる。
空間を整然と分割し、その格子点(ノード)上で演算を行う方法です。FEMやFVMと比較すると形状追従性に劣ります。
今回のコラムでは有限要素法を用いたプレス解析について紹介をしていきます。
プレス解析も、構造解析の一部で、プレス加工に特化した解析です。この解析は、材料力学と許容応力度設計法に基づくものです。
文字のとおりで、製品や構造物が「応」じる「力」です。製品や構造物に荷重が掛かった時に抵抗する力を言います。応力は、製品や構造物が壊れる(破損・変形する)かどうかを判断するための重要な指標です。
重い鞄や物を持った時の筋肉の緊張が当てはまります。
SS400(一般構造用圧延鋼材)Steel Structure 最低引張り強さ400MPa以上が有ります。
応力の単位は N/㎡ =Pa(パスカル)です。計算式を示すと、1[N/㎟]=1×10⁶[N/㎡]=1[MPa]となります。
製品や構造物に応力を加えると、変形が生じます。その変形は、基本的には伸び、縮み、ゆがみ、で表現できます。
上図では、製品や構造物に応力を加えた時に変形する状態を4角形のプレートで表現しています。解析では、このプレートをメッシュ=有限要素として、計算に活用します。
それでは、当社も活用する有限要素法について解説してまいります。
有限要素による解析のステップをご説明します。下図に示すような手順で行い、解析結果の考察から、モデルを改善し、最適な形状や工法を求めていきます。
※プロセスについての補足
①モデル作成:3Dモデルを製作
②メッシュ分割:シートメッシュ、ヘキサメッシュ、テトラメッシュ等が有ります。
③解析:解析条件を入力し解析を行います。
④結果判定:解析結果を確認します。材料の流れ方、プレス加工時の荷重、成形状態等を確認します
⑤解析結果に基づく対策を行います。
モデルをメッシュ分割します。解析時にはモデルに工具(金型)で応力をかける事で、メッシュが変形します。1点に掛けた応力もモデル全体の伝搬し、掛かった応力に応じてモデルが変形します。メッシュの要素数が多ければ微細な形状まで解析を掛ける事が出来ますが、その分計算に時間が掛かり解析が進まない事が起きます。
また、プレス解析時には応力を掛ける事で、モデルが変形していきますが、変形量が大きすぎる等の原因で、メッシュが壊れる事で、解析がストップする事が有ります。この場合には、メッシュのサイズを小さくするなどの対策を行い再解析を行いますが、元々無理な工程での解析を行うと、同様の現象が発生する事が有ります。
実際にプレスを行うと、設備上ではオーバーロードが掛かる事や、金型の破損、製品の破断等の現象として現れますので、解析結果を基に対策を講じる事が出来ます。
ここからは、FEM解析を行った実際の事例を簡単にご紹介します。
直方体の素材に対しH型にプレス成形した事例です。ヘキサメッシュをかけたモデルに金型で成形した物で、加工中のモデルの変形状態を検証する事が出来ます。また、加工部位の変形量の多い部分とそうでない部分でメッシュサイズを変更し計算時間を短縮し解析を行っています。
実際には2000トンのプレス加工機を使用して成形を行いますが、金型を製作してのプレストライが出来ない為、解析を行う事で成形性の確認と、対策の実施、ブランク形状の設定を行いました。
左図は溶接の解析事例です。溶接個所が多く、入熱による変形を確認し治具による押え方改善、部品追加時の変形予測を解析により検証しました。
金属塑性加工.comを運営する高橋金属は、プレスFEM解析技術と溶接熱歪解析技術をコア技術とし、皆様の課題を解決してきました。
溶接熱歪み解析技術とは、有限要素解析法を用いた解析技術です。溶接品の寸法精度の保証は、溶接時にかかる入熱による歪みをいかに最小にするかにかかっています。溶接熱歪み解析技術を活用することにより、溶接時に発生する歪みを事前に予測でき、溶接冶具の設計に反映させることで、高精度・高品質の溶接部品製作を可能とします。 また、冶具修正の費用を削減でき、溶接冶具修正に伴う生産までのリードタイム長期化を避けることが可能となります。
また、当社はプレスFEM解析技術→溶接熱歪み解析技術を合わせて用いることで、プレス品の解析から接合時の解析が一貫して可能であり、最短で工程の全体最適化が実現できます。
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プレスFEM解析技術とは、有限要素解析法を用いた解析技術です。当解析技術により、当社が得意とする、コストダウン・高品質化を実現する最適な工法変換提案が可能となります。FEM解析技術により、プレス成型状態を事前に検討できるため、量産に向けた試作回数の低減が可能となります。また、プレス各が困難な形状は予測できるため、事前の設計変更提案も可能となります。加えて、当技術により最適加工圧力の判断ができるため、適切な設備選定が実現でき、品質向上が実現できます。型内ネジ転造加工技術をはじめとした当社独自技術と、プレスFEM解析技術を組み合わせることで、工程の最適化が可能となり、また、生産までのリードタイム短縮、コストダウンを実現できます。
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CAE解析、FEM解析についてご説明させて頂きました。専門性の高い内容となり、完全に理解するには難しい内容とはなりますが、これらの解析技術を駆使することで、成型品の高品質化が可能となり、コストダウン・製造リードタイムの短縮にもつなげることが可能となります。現状、加工品の品質やコストにお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社にご相談ください。
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