当コラムでは、QCD全ての面でメリットを提供するネットシェイプとニアネットシェイプを、実現するための理想的な加工法をご説明します。
お客様が望まれるQCDを満足する為の工法として、「ネット シェイプ(net shape)」「ニア ネット シェイプ(near net shape)」といった成形形状求める工法が有効です。ネットシェイプとは部品の最終形状であり、ニアネットシェイプは軽度の機械仕上げ加工で最終形状に出来る半製品のことを言います。求められる製品の寸法精度の程度にもよりますが、精密鍛造に近い定義となります。
金属塑性加工.comを運営する高橋金属では、塑性流動成型加工・冷間鍛造加工が該当します。
以下では、ネットシェイプとニアネットシェイプの特徴をご説明いたします。
機械加工により製品形状を作っている製品は特に、ネットシェイプ・ニアネットシェイプにより、高いコストダウン効果を得る事ができます。例えば、当社の場合、IT7の寸法精度を求められる物であれば、冷間鍛造加工により対応出来る事から大幅な加工時間の短縮が可能となります。また、しごき仕上げ、精密せん断といった加工を組み合わせる事で、外形寸法や穴の内径寸法精度を高める事が可能な為、ネットシェイプもプレス加工で求める事が可能となります。
ネットシェイプ・ニアネットシェイプでは、品質の安定化を実現することが可能です。従来は、機械加工により製品形状を製作する場合、使用する工具の摩耗が寸法精度に大きく影響するため、工具の選定や加工条件を、きめ細やかに設定する必要があります。また、定期的な工具交換なども必要となります。
しかし、例えば冷間鍛造加工の場合には、製作する金型の精度や耐久性が高いため、定期的なメンテナンスを行う事で、大量生産においても安定した品質での生産が可能となります。加工内容によりますが、10~20万個まで連続加工も可能です。
例えば、冷間型鍛造工法によりネットシェイプやニアネットシェイプを可能とする事で、従来の工法に比べ大幅なリードタイムの短縮が可能となります。
下図は、熱間鍛造加工と冷間鍛造加工を用いた場合の、プラグネジ加工工程の比較です。冷間鍛造では、従来に比べ2工程の短縮が可能となります。また、製品形状においてはボンデ処理等の潤滑加工の廃止により更に工程は短くなります。
製造リードタイムの短縮に大きなメリットがある冷間型鍛造工法ですが、熱間鍛造と冷間鍛造加工を比較した場合の最も大きな違いは、熱間鍛造は被加工剤を加熱処理するための専用工場が必要ですが冷間鍛造では不要であり、投資コスト面で大きなメリットを生む点にあります。
例えば、冷間鍛造によりネットシェイプ・ニアネットシェイプを可能とする事により、材料歩留まりが向上します。製品形状をプレス加工により成形しますので、仕上げ加工が不要となります。材料歩留まりが良いという事は、言い換えれば、環境に対しても優しいという事になります。昨今、企業の環境意識は高まり続けており、ネットシェイプ・ニアネットシェイプは環境性能の面でも再度注目を浴びています。
ネットシェイプとニアネットシェイプについてご理解頂けましたでしょうか。ここからは、ネットシェイプとニアネットシェイプを可能とする当社のコア技術をご紹介いたします。
塑性流動加工技術とは、板鍛造プレス加工を用いて、最終形状を成型する技術です。冷間鍛造技術の一種となり、常温にて被加工材に荷重を掛ける事により材料の塑性流動を促し成型することが可能です。ファイバーフロー(繊維状組織)が切れない事と、圧縮加工による組織の微細化により高強度な製品を得る事が出来ます。 ダイキャストや鋳物製品は、切削加工が必要となりますが、切削レスとすることにより、工程短縮によるコストダウン・製造リードタイムの短縮が実現できます。先端金属加工技術研究所では、従来の焼結部品や鋳造部品の代替え工法として、塑性流動加工技術の活用を提案しています。
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当コラムでは、QCD全ての面で理想的な工法とされるネットシェイプとニアネットシェイプについてご説明させて頂きました。当社でも、皆様に最大限のメリットを提供できるように、新技術・最適工法の開発及び、それを用いた工法変換提案に力を入れています。
加工コスト、仕上がり品質、製造リードタイムでお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社にご相談ください。
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