板金加工:アーク溶接について
本記事では、板金加工における「アーク溶接」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
精密せん断加工(英:Precision Shearing)とは、トラブルの元となるダレ・破断面・バリといった断面形状を可能な限り無くし、綺麗な切断面を得るためのプレス工法になります。
本コラムでは、4つの精密せん断加工についてご紹介したうえで、その中でもファインブランキング加工と対向ダイスせん断法について深く掘り下げて解説いたします。
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通常のせん断加工を普通せん断と呼びます。普通せん断の場合は、シェービング加工の解説コラムでも述べた通り、「ダレ」、「1次せん断面」、「破断面」、「バリ」で構成された断面形状となっています。
この断面形状の内、「ダレ」「破断面」「バリ」は部品機能にも影響することがあるため好ましくありません。例えば「ダレ」は、ボルトによる固定を行う場合に接触面積が少なくなり必要な締結力を得られなくなります。また位置決めとして端面を使う場合には、「破断面」があることで線当たりとなって摩耗が進むことで位置決めの機能が低下します。さらに「バリ」の発生は、組付け時のケガや、無事に組付けされても使用中にバリが落下することにより電気部品のショート、摺動部品の異常摩耗など様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
上記の問題を引き起こすような断面形状を改善し、良好な切断面を得る工法が「精密せん断工法」です。
代表的な精密せん断工法としては、①シェービング加工、②仕上げ抜き法、③ファインブランキング加工、④対向ダイスせん断法があります。
①のシェービング加工は既に別コラムにて詳しく解説しておりますのでそちらをご覧ください。
>>シェービング加工とは? 綺麗な全せん断面を得るためのポイント
②の仕上げ抜き法は1回の加工で綺麗な切断面を得る方法で、通常の抜きのクリアランスよりも小さい設定「0(ゼロ)」に近づけて加工する方法になります。ブランク加工であればダイスの刃先に、穴抜きであればパンチの刃先にR0.3程度の丸みをつけますが、ブランク抜きではダイス刃先にRを付けることで、切断部近傍に圧縮応力が発生するためソリが大きくなることが欠点です。
今回のコラムでは、ファインブランキング加工と対向ダイスせん断法について詳しく解説いたします。
ファインブランキング加工(英:Fine Blanking Processing)は、全面が平滑な切断面を得るための加工工法で、広く活用されている精密せん断工法の一つです。
ファインブランキング加工では左図に示す様に、加工材を確実に固定するためのVリング(突起形状)を板押えに設けています。加圧して加工材にVリングを押え込むことにより、圧縮力が周囲に逃げることを防止する働きをします。
また、この突起を設けることにより小さな桟幅でも打ち抜きが可能となるため、歩留まりの向上も図れます。
下型からは、エジェクターにより静水圧を掛けることで、製品の打ち抜き時のそり変形を防止します。
この様に、ファインブランキング加工時には板押え力や、静水圧を掛けた状態で加工するため、専用のファインブランキングプレスというプレス機械による加工が行われます。
ファインブランキング金型では、パンチとダイスのクリアランスを0.01~0.02㎜と設定することが多く、一般的な抜き型に比べ小さなクリアランスを設定しています。このクリアランスの設定は、製品の外形抜き、穴抜き(円形状、楕円形状等)においてそれぞれ設定値が異なるため、形状に合わせて適切なクリアランスを設定する必要があります。また、ダイスに微小Rを設けることにより、「き裂」の起点となるダイ刃先近傍の圧縮力を高めてせん断面の2次破断の発生を抑えることができます。ただし、このダイRは製品のダレに影響しない程度のものです。
また板押えに設けるVリング(突起形状)についても、材質・板厚に合わせて高さを変更するという点と、打抜く製品の形状に合わせた打抜き外形からの距離が重要になります。
対向ダイスせん断法は破断面の無い切断面を得るとともに、プレス加工特有のかえりが無く、ダレも最小で押えることができる理想的な切断方法です。
一見すると先に述べたファインブランキング加工に酷似していますが、ファインブランキングではパンチ側にエッジ・バリが出やすい一方で、対向ダイスせん断法ではこの点が解消されていることが大きな違いとなります。
なお、ファインブランキング加工および対向ダイスせん断法では、複動プレス機の使用が不可欠です。
下図に対向ダイスせん断法の加工工程を示します。
材料をセット(a)すると、突起ダイス(上型)が下降しダイスによる切込み(b)(c)が行われます。その後ノックアウトが下降し製品が分離され抜き落とされます(d)。このように、突起ダイスによる切込みとその後に行われる分離とでは、プレス加工時の荷重を掛ける段階が異なるため、複動プレスのような特殊なプレス機が必要となります。
ただ複動プレスは機構上高価なため、複動プレスの機構を金型内に組込むことによって、単動プレスを使用した対向ダイスせん断法を可能とする金型の開発も行われています。
ここまで紹介したせん断法以外にも、主に棒材等を切断する方法である「拘束せん断法」や、プラスチック(樹脂)・プラスチック複合材向けの「振動仕上げ抜き法」などのせん断法があります。
精密せん断加工も、製品の要求品質に合わせ様々な工法が開発されています。一般的な単動プレス機で加工可能な工法から、複動プレスを用いる必要のある工法まで、製品の要求事項にマッチした工法選定が重要です。
今回は、精密せん断加工の内、ファインブランキング加工および対向ダイスせん断法について詳しくご説明させていただきました。
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