板金加工: 曲げ加工について(後編)
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
縁切り型とは、プレス加工後に製品形状を仕上げるための金型です。絞り加工を行った後に不要となる縁部を切断する加工をトリミング加工もしくはトリム加工と呼び、それに用いる金型になります。
縁切り型の種類は豊富で、トリミング加工の方法ごとに、ピンチトリミング法、フラッシュトリミング法、ワイプダウントリミング法、トリムフランジ法などがあります。
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ピンチトリミング法は、絞りと縁切りを同時に行う絞り抜きの複合加工を行う時の縁切り法です。切り口の形状は下図に示している通りダイの方の部分(rd部分)で無理に押し切るため、切り口は刃物状になります。
ピンチトリミング法の活用事例として、掃除機用のモーターファンケースの圧入部に活用されているケースがございます。
端面部にエッジがある場合でも圧入により組付けされます。掃除機内部の部品で人が直接手に触れることが無いため、この方法により加工が行われていました。
フラッシュトリミング法は、絞り加工の付根R(rd部)をできるだけ小さくしておき、フランジの面になる部分を切るというトリミング法です。
前述のピンチトリミング法に比べ、面に対して直角に切断するため切り口が刃物状にならずに切断できますが、
クリアランス分の小さなフランジができます。
製品の端面の精度が必要な場合に採用されるのが、ワイプダウントリミング法です。
絞り成形時に(A)小フランジ付き絞り形状に成形し、平坦な部分で(B)トリムフランジにより切断を行います。最終工程の(C)フランジアップ加工で成形を行う事で端面の精度を保った状態でトリミング加工することが可能になります。
トリムフランジ法は、製品のフランジ部分を仕上げる時に採用します。
この方法で打抜くと、面に対し直角に打抜くことができるため、切り口を綺麗に抜くことができます。
絞り製品の立上げた面に対して水平に切断するような形状にしたい場合は、通常プレス加工後にローラーカットにより加工を行います。しかし、その場合ワークを回転させながらカットしていくため、加工時間が長く生産性が悪いといったデメリットがあります。
この課題をプレス加工により解決したのが、特殊な縁切り金型の一つである「よろめき型」によるプレス加工です。
よろめき型は、プレス金型内に内蔵した2㎜程度のストローク量のカム機構で上下運動を水平運動に変換することで、絞り製品の立ち上げた壁面を水平にトリミングする金型です。
下図はプレス加工時のカムワーカー(よろめき金型の構造概略図参照)の動作状態を示す動作図です。プレス加工時にラムが下降するにしたがって、カム機構により①中心位置から②の位置に移動し③~⑨の位置まで一回転することで絞り形状の側面を切っていきます。
この一回転する間の金型のカム機構の動作状態が”よろめいて”見えるのが、「よろめき型」と呼ばれる所以です。
下図の「よろめき金型の構造概略図」を見ると金型構造がお分かりいただけるかと思います。カムワーカー(可動切断パンチを移動させる機構)を常時クッションで持ち上げた状態で保持し、上型の高さはクリアランス保持用ディスタンスピンで一定の高さに保持された状態で切断することができます。
この金型でワークを切断する時には、水平にパンチがスライドし切断していきますので、ワークを変形させながら切断することになります。したがって、特にパンチ・ダイスの摩耗により切断状態が悪くなると変形が大きくなる恐れがあります。
また、よろめき型は特殊なカム機構を内蔵しており構造が煩雑であることから、金型コストが高くなるというデメリットがあります。
今回は、プレス加工後のトリミングに使用される縁切り型についてご説明させていただきました。
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