板金加工におけるブランク加工の『レーザ切断』について説明していきます。レーザ加工機も、NC制御により切断加工を行う設備でありプログラムを作れば切断加工が出来る設備です。レーザ加工が出来る事についてコラムを進めていきたいと思います。
レーザ:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字を取って「LASER」「レーザ」と呼びます。この呼び方も「レーザー」と表現される場合もありますが、工業用用途、例えば切断、溶接、はく離等に使用する場合には「レーザ」と表現し、医療、デザイン等に使用する場合には「レーザー」と表現します。
この技術コラムでは前者の「レーザ」を使用していきます。
このレーザ技術は意外と歴史が古く「誘導放出」現象をレーザの基礎として確立されたのが1917年で今から106年前になります。その後レーザの基礎技術が確立され、1964年にYAGレーザ発振や炭酸ガス(CO2)レーザ発振が発表され1970年代から工業用に自動車メーカーや航空機メーカーに導入されています。このレーザを用いた板金加工用途では、切断加工、溶接加工等が有りますが、今回は切断加工に絞って紹介していきます。
レーザを用いた切断の原理は「溶断」で加工する材料に熱を加えて「高圧の気体」で溶けた金属を吹き飛ばす事で切断をしています。この原理は、ガス溶断、プラズマ溶断でも同様で、母材を溶かす方法が「ガス」であったり「プラズマ」であったりします。それぞれの切断方法で特徴があり、切断面の精度はレーザ切断、プラズマ切断、ガス切断となりますし、切断できる板厚では、ガス切断、プラズマ切断、レーザ切断と言った状況にあります。近年では、レーザ切断も高出力化が進み、板厚が30㎜を超える様な厚板の切断も可能となってきました。
各切断方法と切断トーチ部の形状を下記に示します。ガス切断の場合にはアセチレンガスを用い、余熱混合ガスを燃焼させて母材を余熱し、十分に加熱出来た所に切断用の酸素を高圧で供給する事で、酸化が促進され切断する事が出来ます。プラズマ切断では強力なアーク熱を発生させアークプラズマに凝縮する事で母材を加熱しながら作動ガスを供給し切断を行います。
レーザ切断は、高出力のレーザ光を母材に当てる事で加熱・溶融しアシストガスを供給する事で切断するものです。レーザ切断機の開発初期では炭酸ガス(CO2)を媒質として光を増幅させるCO2レーザが主流でしたが、現在ではファイバーを増幅媒体としたファイバーレーザに置き換わってきております。母材を溶かす方法が進化するにつれ切断精度の高精度化や切断速度の高速化が図られるようになってきました。
下図に示す様に、レーザ光を材料に照射すると、反射と吸収に分かれます。反射光はレーザ光の入射角に対し同じ角度で反射する特性(正反射と呼びます)を持っています、もう一つが吸収ですが、材料には特有の反射率を持っており、銀、銅、アルミなどの材料は反射率の高い高反射材に区分されレーザ光が吸収されにくく溶けにくいものに区分されます。また、鉄、ニッケルは比較的反射率の低い材料に区分されレーザ光は吸収されやすく溶けやすいものに区分されます。
CO2レーザ切断機に使用されるCO2レーザの波長は10.6μmとレーザ光の中では比較的長い波長のレーザ光で、材料毎の吸収率が低く、切断加工ができる材質が限られています。鉄、ニッケル、アルミは切断が可能ですが、この中でもニッケルやアルミは高出力なものでなければ切断が出来ません。また、銅についても切断できない材料となっています。近年開発が進んできているファイバーレーザ加工機の場合、レーザの波長が1.06μmと短い事で、材料に対する吸収率が高く切断が難しい銅材などの高反射材でも切断が可能となってきています。
板金加工におけるブランク加工では下記の様なレーザ切断機(㈱アマダ製CO2レーザ切断機)の活用が有ります。レーザ加工(切断・溶接)では、レーザ光の焦点位置(照射径が最も小さくなる高さ)で一番高いエネルギー密度となる為、材料の高さと切断トーチまでの高さが重要となります。下記の設備ではこの焦点位置を「ならいセンサー」を用いる事で最適な切断条件で加工が出来る様になっています。
レーザ切断加工時に重要な要素に切断用アシストガスの種類が有ります。
切断する材料とアシストガスの種類を合わせる事で、加工できる状態が異なりますので適切なガスの設定を行う必要があります。また、CO2レーザ加工機と、ファイバーレーザ加工機で使用するガスの種類が異なる為、設備に合わせたガスの種類の選定も必要となります。
次回はレーザタレパン複合機についてコラムを記載します。
今回は、板金加工における外形加工専用機について解説しました。
当サイトでは、この他にも板金加工に関するコラムを掲載しております。ぜひご覧ください。
>>コラム一覧はこちら
当社は、設計提案から完成品組立までを一貫対応するOEM生産体制、独自技術によるコストダウン提案、さらに大手企業との信頼に基づく実績と、高品質な量産体制など他にはない強みを多数保有しております。
>>当社が選ばれる理由はこちら
板金加工のことなら、金属塑性加工のプロフェッショナルである髙橋金属にお任せください。
>>ご相談・お問い合わせはこちら
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザタレパン複合機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザ切断」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「外形加工専用機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工における部品展開」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工(工場板金)の全体像」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
今回は、プレス加工:冷間鍛造(後編) 複合押出し、密閉鍛造について紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:冷間鍛造(前編) 型鍛造、前方押出し加工について紹介している記事になります。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐据え込み、修正仕上げ打ち加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐コイニング・ポンチング・刻印加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(縁曲げ(フランジ成形、カール成形)、口絞り成形、矯正及び型打ち)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(エンボス加工、バルジ張出し加工、つば出し加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、張出し加工と絞り加工の違いについて説明をしています。 是非、ご確認ください。
本記事では、角絞り加工時に起こる引けの抑制方法について、説明しています。是非、ご確認ください。
本記事では、深絞り加工の基礎についてご説明しています。深絞りの定義や知っておくべき数値、絞り加工油や絞り金型について解説していますので、ご確認ください。
本記事では、絞り加工のトラブル事例、割れ不良・絞りキズ・底部変形について説明しています。是非ご確認ください。
本記事では、絞り金型と絞り加工のトラブル事例について詳しく解説しています。是非ご確認ください。
本記事では、プレスの絞り加工について、プレス加工のプロフェッショナルが解説いたします。
本記事では、プレス曲げ加工の一つであるカール曲げ加工(カーリング)の種類と加工工程について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
本記事では、曲げ加工において大きな問題となるスプリングバックの原因と対策、そして曲げ加工の種類について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
プレス加工は、目的とする製品形状や品質によって分類することができ、その数は数十種類とも言われています。これらは、パンチとダイで素材を分離するせん断加工と、板材を目的の形状に変形させる塑性加工という2つに大別されます。本コラムでは、せん断加工をさらに細かく分類した8種類の加工法についてご紹介します。
精密せん断加工(英:Precision Shearing)とは、トラブルの元となるダレ・破断面・バリといった断面形状を可能な限り無くし、綺麗な切断面を得るためのプレス工法になります。本コラムでは、4つの精密せん断加工についてご紹介したうえで、その中でもファインブランキング加工と対向ダイスせん断法について深く掘り下げて解説いたします。
本記事では、パイプ加工の中でも難易度が高いとされる3次元曲げと端末加工技術について、パイプ加工のプロフェッショナルが詳しく解説いたします。
プレス加工の一つ、シェービング加工をご存じでしょうか?シェービング加工は、通常のプレス加工では得られないせん断面を得ることができる工法です。本記事では、シェービング加工と板厚の全面にせん断面を得るための加工ポイントについて、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
当記事では、プレス加工の”縁切り型”について詳しく解説しております。縁切り型の特徴や種類、構造について詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当記事では、プレス加工の”分断型”について詳しく解説しております。分断型を使った分断加工のポイントや加工事例についてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当社の高度コア技術である型内ネジ転造加工技術と加工事例についてご紹介しています。生産中の動画もご確認頂けますので、是非ご覧ください!
当記事では、切り込み型について説明しています。ルーバー加工やランスロット加工についても併せて説明していますので、是非ご確認ください。
金属の溶接方法には、アーク溶接やレーザ溶接など、様々な種類が存在します。各種溶接にはメリットやデメリットがありますが、それらを把握することで、適切な溶接方法を選定でき、高品質化及び最適コストの実現が可能となります。 ここでは、様々な溶接方法のメリットとデメリットをご説明させて頂きます!
当コラムでは、QCD全ての面でメリットを提供するネットシェイプとニアネットシェイプを、実現するための理想的な加工法をご説明します。 ぜひご一読ください!
当記事では、穴抜き型についてご説明させて頂きます。
金属塑性加工.comを運営する高橋金属では、11軸・9軸・8軸の多軸溶接ロボットを保有し、大物溶接品の溶接に対応しています。また、大物製品の組立まで対応できるOEM生産体制を構築しています。大物製品のOEM委託先をお探し中の皆様、お気軽に当社に御相談ください。
当技術コラムでは、せん断加工の中で基本的な加工である打抜き加工に使用される、打抜き金型ついてご説明します。
プレス加工の分類において、「素材の分離」に属する、せん断加工を行うための切断金型についてご説明します。
今回の技術コラムでは、プレス金型の設計に焦点を当て紹介をしていきたいと思います。
金属における加工方法の一つである鏡面加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたしますので、参考にして頂けますと幸いです。
金属における加工方法の一つである塑性加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたします。
溶接方法の中でもメリットが多いとされるロボットによるファイバーレーザ溶接の課題やデメリットについてご説明します。課題を解決する当社のコア技術についてもご説明しますので、是非ご確認ください。
理想的な工法とされるネットシェイプ・ニアネットシェイプを可能とする塑性流動成型加工の一種である冷間鍛造加工についてご説明させて頂きます。
トランスファープレス加工をはじめ、プレス加工工法についてご説明します。当社の独自ラインである、3連トランスファーダンデムラインについてもご紹介しますので、是非参考にしてください。
プレスFEM解析技術、溶接熱歪解析技術を持つ当社が、CAE解析についてご説明させて頂きます。合わせて、FEM解析やFVM解析、当社のコア技術についてもご紹介します。
当社の表面処理鋼板材接合技術を用いることで、メッキを剥がさずにZAM材を溶接することが可能となります。
アーク溶接における溶接欠陥の発生原因を紹介します。