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プレス加工:成形加工(縁曲げ(フランジ・カール成形)、口絞り成形、矯正及び型打ち)の特徴

その他のプレス加工:成形加工(エンボス加工、バルジ張出し、つば出し成形)の特徴については以下のコラムで解説していますので、是非こちらもご確認ください。

>>プレス加工:成形加工(エンボス加工、バルジ張出し、つば出し成形)の特徴についてはこちら!

縁曲げ(フランジ成形)

 縁(ふち)曲げ成形は、板材の端面にフランジ(つば)を付ける成形加工です。大きな平面を持つ製品等では、製品自体の剛性が無く、歪み、変形のしやすい状態にあるため、端面部に折り曲げ成形を施し剛性を高めます。(自動車のフェンダーのタイヤハウスには伸びフランジ成形で約15㎜程度の縁成形が施してありこれにより剛性を保っています)

フランジ成形は下図に示す様に、伸びフランジ、縮みフランジがあり、この他にも伸びと縮みを複合加工したものがあります。

伸びフランジの加工時には、外側に湾曲させるように加工する事から、端面部がワレやすいと言った問題が出やすく、逆に縮みフランジでは内側に湾曲させる事からシワが発生しやすいと言った問題があります。このワレについては外形抜きの段階でエッジ側が内側に来るように設定する事や、シワの発生防止にはしごき量を多くする等が有ります。シワ防止をする為のしごき量は、あまり多くしすぎると立上げ高さが高くなる事や、パンチの当たった端面部にバリが立つことが有るため複数回のトライを行いながら設定します。

 

 

縁曲げ(カール成形)

絞り成形を行った製品の開口部の強度を高くするため、端面部に縁曲げを設ける事が有ります。絞り成形の過程で縁部を残し、リストライク成形で下図のように縁部の成形する事で開口部に強度を持たせることができます。

縁曲げ成形のみでは曲げ端面部が波うつ等の現象が発生することも有るため、カール成形を追加する事で端面部が安定し、容器としての気密性を持たせることも可能です。

 

下の写真は店舗用等の業務用掃除機に使用される容器ですが、掃除により回収された「ごみ」をためる部品で定期的にごみの排出をするため安全上の配慮から端面部にカール成形が施されています。また、掃除機の特性上吸込んだ空気が漏れると吸引力に影響するためパッキン面となる端面部の形状が安定している必要があり、このようにカール成形が施されています。

 

口絞り成形

口絞り成形は、一般にスウェージング加工、ネッキング加工と呼ばれる絞り成形した容器形状の開口部や、パイプの端末部を縮小する加工になります。

絞り成形を施したワークの開口部を上向き状態で金型にセットしプレス加工を行います。ダイスの形状に沿って開口部が縮小していきます。上図の略図では同じような製品高さにしていますが、口絞り加工を施すと、製品の全長が高くなります。これは、プレス成形を行っても体積が変らない事で成形した方向(材料の逃げやすい方向)に伸びるからです。母材の強度と口絞り成形に係る荷重で後者の方が高く、成形前のワークの高さが高い場合には胴の部分で座屈変形する事も有ります。

 

また、1回で直径を縮小できる量は次のとおりです。

・軟質アルミニュム材・・・・10~15%

・深絞り用軟鋼板材 ・・・・13~15%

 

口絞り加工における成形量は上記の様になりますが、複数回の絞り加工を行ったワークに対し口絞り成形を行う場合に、材料に加工硬化が発生している場合があり、対処として焼鈍等の追加処理を必要とする場合があります。

 

矯正及び型打ち

プレス加工における「矯正」は、プレス加工前とプレス加工後に分ける事ができます。プレス加工前では材料の「矯正」があり、順送型に使用するコイル材の矯正が有ります。コイル材は、以前にも説明しましたが、高炉メーカーの連続鋳造で製造されたインゴットをロール成形し、圧延鋼板~冷延鋼板に成形した母材を製造し、その後、必要に応じて表面処理等を施し市場へ供給されます。

この圧延加工時の内部応力は消えることが無く材料内に残留しています。コイル材の圧延方向に平行方向と圧延方向に直角方向では加工性が異なり、曲げ加工を行うとそれぞれの方向により曲げの角度が異なる状態が発生します、これを材料の異方性と呼びます。

この異方性が原因となりプレス成形時に反りが大きくなったり、ひねりが発生したりする現象が発生し、これを修正する方法が矯正加工となります。プレス加工前には、コイル材の巻き癖を「レベラー」と呼ばれる設備で平坦に伸ばし矯正した材料を順送金型に供給し加工します。

しかし、この矯正のみでは歪が修正できない事が多く、金型内で曲げの内Rを圧縮し、絞り成形のフランジR部を圧縮する事で歪を吸収する方法をリストライク成形と呼びます。また、大きな平面の平面度を矯正する場合には、「星打ち矯正」と言った方法で修正を図られる場合も有ります。

 

材料の異方性について

材料の異方性により曲げ精度が変化する事は先にも述べましたが、鈑金工法で曲げ加工を行う場合には、リストライク等の矯正を行う事が難しいため、材料の圧延方向を考えた材料取りや、切り板材で材料を手配する際には圧延方向を指定した購入をする事で曲げ精度を安定させる事が出来ます。

また、順送型で製品を加工する場合には、圧延方向に対し30°~45°の角度を取る事で圧延方向に対し平行な曲げを無くすことで、曲げ部の割れを防止する事も配慮する事が有ります。

 

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今回は、プレス加工:成形加工(縁曲げ(フランジ・カール成形)、口絞り成形、矯正及び型打ち)の特徴ついて解説しました。
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