先に述べた、シャーリング機、コーナーシャー機を用いた外形加工では、少量の加工では有効ですが、寸法精度が作業者の技量に左右される所が大きく、大量生産には向きません。また、取付穴等をあける際にも、ドリル加工等になる為工数もかかります。
現在の板金加工の加工では、NC加工機による外形加工が主流となっており、今回は外形加工を行う専用機についてコラムを書いていきたい思います。
下図は、板金加工におけるブランク加工の一覧になります。タレットパンチプレス(通称タレパン)、レーザ切断加工機、タレパンレーザ複合機が現在の外形加工の主流機になります。これから、下記の設備について順に説明をしていきたいと思います。
タレパンの設備群には、パンチプレス、NCタレパン加工機が有ります。
パンチプレスは下図に示す様に比較的小型の加工機で、材料端面の切り落としも可能ですが主に、複数種類の穴あけを得意とする加工機になります。この設備は、作業者が材料を基準となる「当て」につき当てて、加工するもので材料に対して加工部の座標と加工する金型の種類を入力したプログラムで加工するものです。
比較的小型の設備で被加工材の板厚やサイズも限られたサイズのものしか出来ない反面、プログラムの作成も比較的簡単で利便性も良い設備と言えます。
下図、右に有るのがNCタレットパンチプレス(通称タレパン)になります。こちらの設備は板厚も3.2㎜程度で、材料サイズも3・6板、4・8板などの大型の材料を加工する事ができます。また、専用の材料棚を設置する事で材料供給の自動化により夜間運転を行う事の出来る設備になります。
タレパンの加工方法を説明したいと思います。
タレパン加工は下図のように、材料をクランプで固定し加工位置に移動しプレス加工する事で穴抜き、バーリング、切起こし、タップ加工等の加工をする事ができます。
タレットの中には金型を複数設置する事ができ、タレットのステーション番号を呼び出す事で必要な加工を行う事ができます。タレパン加工では材料をスムーズに移動させるため、フリーボールベアリングで移動時の傷をつけない様にしていますが、材料によっては表面が軟らかく材料の重みでも傷が付くことも有る為、ブラシで材料を持ち上げるタイプに変わってきています。
また、加工の材料の高さとダイスの高さが有っていないと、ダイスの角の部分で傷をつける事も有る為、ダイスの面の管理も必要になります。
タレパン加工のプログラムを作成する場合には、下図に示すクランプの掴み代を考慮する事と、1枚の材料で出来る限り歩留まりよく製品にする事が必要となります。
これを実現するためには、複数種類のものを1枚の材料から取得する「ネスティング加工」のプログラムを作成する事で、材料歩留まりを改善する事ができます。この場合には、同一材質、板厚の部品が多数ある事が前提条件となりますが、材料の有効活用を図る上で重要な内容となります。
また、外形加工時の配慮する内容として、材料の圧延方向を一定にする事も重要な内容になります。
特に、曲げ加工時の曲げ角度は材料の曲げ易さに影響するため、複数個を取る時には曲げ方向と圧延方向を常に一定になる様に配慮すると、1ロット内での曲げ加工精度のバラツキを押える事ができます。
タレパン加工機で使用するパンチ/ダイスの形状と代表的な追い抜き加工についての説明をします。
タレパンに使用するパンチダイスの形状は下図に示す様になっており、プレス金型と同様の構成となっていますが、プレス金型ではパンチ/ダイスはダイセットに組込まれていますがタレパンの場合にはタレットに組込まれて加工されます。
この様な加工方法ですので、タレットの上下の位置決め精度は非常に高い事が条件となります。
タレパン加工において、長い直線を加工する場合には「追い抜き加工」を多用します。
この場合には、下図に示す様に追い抜き長さがパンチに対し1.5倍以上が無いと、金型に偏荷重が掛かり破損に繋がります。
また、長方形のパンチを用いた場合にも長辺方向に追い抜く場合は偏荷重に対し先の条件を満足していればよいのですが、短辺方向には偏荷重に対し弱いため、プログラムの設定時に配慮が必要となります。
設備によっては金型の方向を90°回転させる事の出来るものもあり、この様な機能で加工をする場合も有ります。
タレパンに取付ける事の出来るパンチサイズは限られているため、パンチ径を超える穴抜きや円弧の抜き加工では下図の様な追い抜き加工を行う。
この加工の場合には○パンチを使用して行うため、抜いた後が「ギザギザ」になる為、後加工に仕上げが必要となります。
この仕上げを最小限に抑えるためパンチの送りピッチを小さくし、対処をしますが、この場合も、送りピッチが小さすぎると金型の破損に繋がる為送りピッチの設定を配慮する必要があります。
次回は、レーザー切断についてコラムを記載いたします。
今回は、板金加工における外形加工専用機について解説しました。
当サイトでは、この他にも板金加工に関するコラムを掲載しております。ぜひご覧ください。
>>コラム一覧はこちら
当社は、設計提案から完成品組立までを一貫対応するOEM生産体制、独自技術によるコストダウン提案、さらに大手企業との信頼に基づく実績と、高品質な量産体制など他にはない強みを多数保有しております。
>>当社が選ばれる理由はこちら
板金加工のことなら、金属塑性加工のプロフェッショナルである髙橋金属にお任せください。
>>ご相談・お問い合わせはこちら
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザタレパン複合機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザ切断」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「外形加工専用機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工における部品展開」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工(工場板金)の全体像」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
今回は、プレス加工:冷間鍛造(後編) 複合押出し、密閉鍛造について紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:冷間鍛造(前編) 型鍛造、前方押出し加工について紹介している記事になります。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐据え込み、修正仕上げ打ち加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐コイニング・ポンチング・刻印加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(縁曲げ(フランジ成形、カール成形)、口絞り成形、矯正及び型打ち)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(エンボス加工、バルジ張出し加工、つば出し加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、張出し加工と絞り加工の違いについて説明をしています。 是非、ご確認ください。
本記事では、角絞り加工時に起こる引けの抑制方法について、説明しています。是非、ご確認ください。
本記事では、深絞り加工の基礎についてご説明しています。深絞りの定義や知っておくべき数値、絞り加工油や絞り金型について解説していますので、ご確認ください。
本記事では、絞り加工のトラブル事例、割れ不良・絞りキズ・底部変形について説明しています。是非ご確認ください。
本記事では、絞り金型と絞り加工のトラブル事例について詳しく解説しています。是非ご確認ください。
本記事では、プレスの絞り加工について、プレス加工のプロフェッショナルが解説いたします。
本記事では、プレス曲げ加工の一つであるカール曲げ加工(カーリング)の種類と加工工程について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
本記事では、曲げ加工において大きな問題となるスプリングバックの原因と対策、そして曲げ加工の種類について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
プレス加工は、目的とする製品形状や品質によって分類することができ、その数は数十種類とも言われています。これらは、パンチとダイで素材を分離するせん断加工と、板材を目的の形状に変形させる塑性加工という2つに大別されます。本コラムでは、せん断加工をさらに細かく分類した8種類の加工法についてご紹介します。
精密せん断加工(英:Precision Shearing)とは、トラブルの元となるダレ・破断面・バリといった断面形状を可能な限り無くし、綺麗な切断面を得るためのプレス工法になります。本コラムでは、4つの精密せん断加工についてご紹介したうえで、その中でもファインブランキング加工と対向ダイスせん断法について深く掘り下げて解説いたします。
本記事では、パイプ加工の中でも難易度が高いとされる3次元曲げと端末加工技術について、パイプ加工のプロフェッショナルが詳しく解説いたします。
プレス加工の一つ、シェービング加工をご存じでしょうか?シェービング加工は、通常のプレス加工では得られないせん断面を得ることができる工法です。本記事では、シェービング加工と板厚の全面にせん断面を得るための加工ポイントについて、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
当記事では、プレス加工の”縁切り型”について詳しく解説しております。縁切り型の特徴や種類、構造について詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当記事では、プレス加工の”分断型”について詳しく解説しております。分断型を使った分断加工のポイントや加工事例についてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当社の高度コア技術である型内ネジ転造加工技術と加工事例についてご紹介しています。生産中の動画もご確認頂けますので、是非ご覧ください!
当記事では、切り込み型について説明しています。ルーバー加工やランスロット加工についても併せて説明していますので、是非ご確認ください。
金属の溶接方法には、アーク溶接やレーザ溶接など、様々な種類が存在します。各種溶接にはメリットやデメリットがありますが、それらを把握することで、適切な溶接方法を選定でき、高品質化及び最適コストの実現が可能となります。 ここでは、様々な溶接方法のメリットとデメリットをご説明させて頂きます!
当コラムでは、QCD全ての面でメリットを提供するネットシェイプとニアネットシェイプを、実現するための理想的な加工法をご説明します。 ぜひご一読ください!
当記事では、穴抜き型についてご説明させて頂きます。
金属塑性加工.comを運営する高橋金属では、11軸・9軸・8軸の多軸溶接ロボットを保有し、大物溶接品の溶接に対応しています。また、大物製品の組立まで対応できるOEM生産体制を構築しています。大物製品のOEM委託先をお探し中の皆様、お気軽に当社に御相談ください。
当技術コラムでは、せん断加工の中で基本的な加工である打抜き加工に使用される、打抜き金型ついてご説明します。
プレス加工の分類において、「素材の分離」に属する、せん断加工を行うための切断金型についてご説明します。
今回の技術コラムでは、プレス金型の設計に焦点を当て紹介をしていきたいと思います。
金属における加工方法の一つである鏡面加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたしますので、参考にして頂けますと幸いです。
金属における加工方法の一つである塑性加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたします。
溶接方法の中でもメリットが多いとされるロボットによるファイバーレーザ溶接の課題やデメリットについてご説明します。課題を解決する当社のコア技術についてもご説明しますので、是非ご確認ください。
理想的な工法とされるネットシェイプ・ニアネットシェイプを可能とする塑性流動成型加工の一種である冷間鍛造加工についてご説明させて頂きます。
トランスファープレス加工をはじめ、プレス加工工法についてご説明します。当社の独自ラインである、3連トランスファーダンデムラインについてもご紹介しますので、是非参考にしてください。
プレスFEM解析技術、溶接熱歪解析技術を持つ当社が、CAE解析についてご説明させて頂きます。合わせて、FEM解析やFVM解析、当社のコア技術についてもご紹介します。
当社の表面処理鋼板材接合技術を用いることで、メッキを剥がさずにZAM材を溶接することが可能となります。
アーク溶接における溶接欠陥の発生原因を紹介します。