ファイバーレーザ溶接を行う上で、必要となる「ファイバーレーザ溶接システム」の特徴とレーザ溶接に於けるメリット・デメリットと、デメリットを解決する為の手段についてご紹介します。
関連情報はこちら
ファイバーレーザ溶接を可能とする為には、「ファイバーレーザ溶接システム」の構築が必要となります。以前に比べるとファイバーレーザ溶接システムの導入に掛かるイニシャルコストは低減されてきましたが、それでも、高価な設備には変わりなく、導入に対して躊躇される事で、中々、普及しない要因の1つです。また、全く新しい溶接工法であり、品質規格、評価基準などの整備も不足している事も要因となっています。
しかし、ファイバーレーザ溶接では従来のアーク溶接工法や抵抗溶接では出来なかった接合が可能となる画期的な接合工法であります。
ファイバーレーザ溶接システムの特徴
①高品質・高パワー密度なレーザ光の発振が可能である。
②極小部の加熱・接合が可能なため低歪な接合が可能である。
③非接触での接合であり、抵抗溶接の様に溶接間距離の裕度が高い。
④ランニングコストが低い。(エネルギー変換効率が30%以上)
⑤極小部に吸熱急冷の接合が可能となる為接合部の強度が高い。
⑥レーザ専用ロボットの活用により高い位置決め精度が得られ溶接の繰り返し性能が高い。
当社のファイバーレーザ溶接については、動画でご確認頂けます。
ファイバーレーザ溶接のメリットは、先ほどの特徴でも述べましたが、高品質で高パワー密度のレーザ光が安定して発振できるため、安定した溶接が可能です。
ファイバーレーザ溶接は、極小部にレーザ光を照射し接合する為、熱影響部が小さく低歪での接合が可能となります。また、接合範囲が小さい事から吸熱急冷での接合が可能となり、接合部の硬度が高く高強度な接合が可能となります。
一般的なアーク溶接の溶接速度は0.3~0.7m/minですが、ファイバーレーザ溶接での溶接速度は2~5m/minであり約6~16倍の溶接速度で接合が可能となります。
ファイバーレーザ溶接システムは、高軌跡タイプのレーザ溶接専用ロボットを組込んでおり、溶接位置決めは±0.07㎜の繰返し精度で行う事ができ、非常に安定した溶接を可能としています。また、ロボットによる溶接により作業者による作業ミスが無く人の要因での不具合の発生が極めて低いと言えます。(欧米、中国等の導入理由です。)
ファイバーレーザ溶接で使用するレーザ光の照射径は接合の用途に合わせΦ0.1~Φ1.0㎜(マルチモードファイバーレーザの場合)に設定します。一般的な照射径の設定はΦ0.6㎜にされるケースが多い状況です。
ファイバーレーザ溶接システムを用いた「共付け溶接」施工上の課題は、この照射径で正確に溶接線を狙い溶接する事にあり、被加工材の製作上の精度に大きく影響されます。例えば、接合部のスキマで有れば、0.2㎜以上となっているとレーザ光による溶融ができず接合ができなくなります。また、溶接位置に対する部品精度や位置決め精度が厳しく、接合位置が0.2㎜以上ズレると溶接強度が不足し、溶接部に穴あきが発生し気密性が落ちるような不具合が発生します。
以上の課題に対し、部品間の接合隙間は、部品加工精度を高める必要があります。また、ファイバーレーザ溶接前の仮組み段階では、歪なく組み立てる必要がありますが、逆に部品精度や仮組み時の精度を向上させることで全体のコストアップにつながるといった問題も浮上してきます。
本来ファイバーレーザ溶接工法は、従来のアーク溶接や、抵抗溶接に比較して高速度での加工ができるのが特徴ですが、更に高速度で溶接を行いラインタクトの高効率化を図る場合には、ガルバノスキャナヘッドを用いたリモート溶接工法を取り入れる場合があります。この場合においても、スキャナ範囲が限定される為、移動・停止・レーザ溶接を繰り返すステップ&リピート方式では十分な効果が得られない事もあります。
これらの問題を解決できるのが、当ガイドブックでご紹介する「オンザフライ溶接工法」と「シームトラッキング溶接工法」です。国内でも徐々に浸透している技術ではありますが、ドイツをはじめとした欧州や北米では、国内よりも活用されている溶接技術です。
従来のファイバーレーザ溶接においては、広範囲に多くの溶接ポイントがある場合、溶接位置でロボット動作を停止しレーザ溶接するステップ&リピート工法が用いられていました。この工法ではロボットの動作が停止するため、溶接時間が長時間化していましたが、オンザフライ溶接工法により短時間での溶接が可能となります。また、当社の高度コア技術であるシームトラッキング溶接技術と共に用いることで、高速・高精度の接合を可能にします。
関連情報はこちら
シームトラッキング溶接工法とは、溶接位置を事前にモニタリングし溶接位置を追従補正することで、安定した溶接が可能となる技術です。ファイバーレーザ溶接では、極小範囲に高出力のレーザ光を照射する事により複数部材を接合しますが、突合せ溶接・隅肉溶接の場合においては、被加工材の寸法のバラツキや治具セット時のセット位置のズレにより接合不良が発生する可能性があります。
接合部の寸法精度の向上のため、部品加工精度の向上と、位置決め治具により部品位置決め精度を向上させることが重要です。また、より安定的に接合するためには、ワークセットごとに溶接位置を確認する必要があります。シームトラッキング技術を活用することにより、調整作業がなくなり段取り時間の削減や安定した突合せ・隅肉溶接が可能になります。
関連情報はこちら
金属塑性加工.comでは、高品質・低コストを実現できる溶接に関する無料冊子を発行しております。是非ご確認ください。
ロボットによるファイバーレーザ溶接において、位置決め精度が不十分なことによる接合不良発生や位置決め作業の長時間化などのデメリットを解消することができる、オンザフライ溶接工法とシームトラッキング溶接工法のガイドブックです。当技術により、溶接スピードの上昇と位置決め作業の削減で、製造リードタイムの大幅短縮が可能となります。
関連情報はこちら
表面処理鋼板材の接合不良をなくし、さらにコストダウン・製造リードタイム短縮を実現する、表面処理鋼板材接合技術に関するガイドブックです。表面処理鋼板材接合技術を用いることで、ZAM 材を始めとした目付け量の多い溶融メッキ鋼板の安定的な溶接が可能となります。当技術により、防錆・耐食性が必要な場合に ZAM 材を選定できるため、材料コストを 1/3 に抑えることが可能となります。
関連情報はこちら
当コラムでは、ファイバーレーザ溶接の課題やメリット・デメリットついてご説明させて頂きました。金属塑性加工.comを運営する高橋金属は、溶接に関する研究に力を入れております。溶接に関するお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社にご相談ください。
関連情報はこちら
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「曲げ加工」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザタレパン複合機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「レーザ切断」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、板金加工における「外形加工専用機」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工における部品展開」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、「板金加工(工場板金)の全体像」についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
今回は、プレス加工:冷間鍛造(後編) 複合押出し、密閉鍛造について紹介しています。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:冷間鍛造(前編) 型鍛造、前方押出し加工について紹介している記事になります。ぜひご覧ください。
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐据え込み、修正仕上げ打ち加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、プレス加工:圧縮加工(冷間鍛造‐コイニング・ポンチング・刻印加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(縁曲げ(フランジ成形、カール成形)、口絞り成形、矯正及び型打ち)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、成形加工(エンボス加工、バルジ張出し加工、つば出し加工)の特徴について紹介している記事になります。ぜひ最後までご覧ください!
本記事では、張出し加工と絞り加工の違いについて説明をしています。 是非、ご確認ください。
本記事では、角絞り加工時に起こる引けの抑制方法について、説明しています。是非、ご確認ください。
本記事では、深絞り加工の基礎についてご説明しています。深絞りの定義や知っておくべき数値、絞り加工油や絞り金型について解説していますので、ご確認ください。
本記事では、絞り加工のトラブル事例、割れ不良・絞りキズ・底部変形について説明しています。是非ご確認ください。
本記事では、絞り金型と絞り加工のトラブル事例について詳しく解説しています。是非ご確認ください。
本記事では、プレスの絞り加工について、プレス加工のプロフェッショナルが解説いたします。
本記事では、プレス曲げ加工の一つであるカール曲げ加工(カーリング)の種類と加工工程について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
本記事では、曲げ加工において大きな問題となるスプリングバックの原因と対策、そして曲げ加工の種類について、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
プレス加工は、目的とする製品形状や品質によって分類することができ、その数は数十種類とも言われています。これらは、パンチとダイで素材を分離するせん断加工と、板材を目的の形状に変形させる塑性加工という2つに大別されます。本コラムでは、せん断加工をさらに細かく分類した8種類の加工法についてご紹介します。
精密せん断加工(英:Precision Shearing)とは、トラブルの元となるダレ・破断面・バリといった断面形状を可能な限り無くし、綺麗な切断面を得るためのプレス工法になります。本コラムでは、4つの精密せん断加工についてご紹介したうえで、その中でもファインブランキング加工と対向ダイスせん断法について深く掘り下げて解説いたします。
本記事では、パイプ加工の中でも難易度が高いとされる3次元曲げと端末加工技術について、パイプ加工のプロフェッショナルが詳しく解説いたします。
プレス加工の一つ、シェービング加工をご存じでしょうか?シェービング加工は、通常のプレス加工では得られないせん断面を得ることができる工法です。本記事では、シェービング加工と板厚の全面にせん断面を得るための加工ポイントについて、プレス加工のプロフェッショナルが徹底解説いたします。
当記事では、プレス加工の”縁切り型”について詳しく解説しております。縁切り型の特徴や種類、構造について詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当記事では、プレス加工の”分断型”について詳しく解説しております。分断型を使った分断加工のポイントや加工事例についてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当社の高度コア技術である型内ネジ転造加工技術と加工事例についてご紹介しています。生産中の動画もご確認頂けますので、是非ご覧ください!
当記事では、切り込み型について説明しています。ルーバー加工やランスロット加工についても併せて説明していますので、是非ご確認ください。
金属の溶接方法には、アーク溶接やレーザ溶接など、様々な種類が存在します。各種溶接にはメリットやデメリットがありますが、それらを把握することで、適切な溶接方法を選定でき、高品質化及び最適コストの実現が可能となります。 ここでは、様々な溶接方法のメリットとデメリットをご説明させて頂きます!
当コラムでは、QCD全ての面でメリットを提供するネットシェイプとニアネットシェイプを、実現するための理想的な加工法をご説明します。 ぜひご一読ください!
当記事では、穴抜き型についてご説明させて頂きます。
金属塑性加工.comを運営する高橋金属では、11軸・9軸・8軸の多軸溶接ロボットを保有し、大物溶接品の溶接に対応しています。また、大物製品の組立まで対応できるOEM生産体制を構築しています。大物製品のOEM委託先をお探し中の皆様、お気軽に当社に御相談ください。
当技術コラムでは、せん断加工の中で基本的な加工である打抜き加工に使用される、打抜き金型ついてご説明します。
プレス加工の分類において、「素材の分離」に属する、せん断加工を行うための切断金型についてご説明します。
今回の技術コラムでは、プレス金型の設計に焦点を当て紹介をしていきたいと思います。
金属における加工方法の一つである鏡面加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたしますので、参考にして頂けますと幸いです。
金属における加工方法の一つである塑性加工について説明します。金属塑性加工.comの視点で、詳しく解説いたします。
溶接方法の中でもメリットが多いとされるロボットによるファイバーレーザ溶接の課題やデメリットについてご説明します。課題を解決する当社のコア技術についてもご説明しますので、是非ご確認ください。
理想的な工法とされるネットシェイプ・ニアネットシェイプを可能とする塑性流動成型加工の一種である冷間鍛造加工についてご説明させて頂きます。
トランスファープレス加工をはじめ、プレス加工工法についてご説明します。当社の独自ラインである、3連トランスファーダンデムラインについてもご紹介しますので、是非参考にしてください。
プレスFEM解析技術、溶接熱歪解析技術を持つ当社が、CAE解析についてご説明させて頂きます。合わせて、FEM解析やFVM解析、当社のコア技術についてもご紹介します。
当社の表面処理鋼板材接合技術を用いることで、メッキを剥がさずにZAM材を溶接することが可能となります。
アーク溶接における溶接欠陥の発生原因を紹介します。