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プレス加工:冷間鍛造(前編) 型鍛造、前方押出し加工

型鍛造について

型鍛造を平たく述べると、金型を使った鍛造加工となります、また、加工する素材の温度帯により冷間、温間、熱間の3種類に分けることができます。今回のコラムでは、冷間型鍛造加工について述べていきたいと思います。

型鍛造を行う上で、使用するプレス機械、金型構造、潤滑処理について基本的な説明の後各加工法について述べていきたいと思います。

型鍛造に適したプレス機

プレス加工加工方法は板状の材料を切断、曲げ、絞り加工により成形する「鈑金プレス加工」と、塊状、又は比較的厚い板状の材料に大きな荷重を掛けて材料の組織を移動させることで成形する「鍛造プレス加工」の2種類に分けることができます。前者ではクランクプレスや、リンクプレスが多く用いられますが、鍛造プレス加工の場合には、材料組織を変形させて成形するためしっかりと荷重を掛ける事ができるナックルプレスを用いられます。下図にリンクプレス、ナックルプレス、クランクプレスのそれぞれの機構と動作曲線を示します。ナックルリンクプレス(ナックル機構)では加工領域で高い荷重を掛ける事が可能であり型鍛造加工に適したプレス機である事が解ります。

プレス機では、大きな荷重を素材に掛けて成形するため、これを受け止めるフレームの構造も重要で、加工荷重に合ったフレームを選定し製造されています。特に、ナックルプレスでは大きな荷重に耐える「ストレートサイドフレーム」が採用されており、このフレーム構造は荷重を掛けた時のフレームの伸びを最小限に出来る特徴を持っています。また、ラムのスライドギブには偏心荷重に強くスライドが横ブレしない構造や大きな荷重を掛けても「たわみ」の少ないベッド、ラムのプレス機となっています。

型鍛造加工においては、鍛造用の金型、鍛造加工に適したプレス機の選定が重要となります。

型鍛造加工の考え方

冷間鍛造加工において、加工時に素材の体積は変わらない(打抜き等が無ければ)ため、金型で成形すると、素材が金型の空間に移動・充填される事で成形されます。鍛造加工で、複雑な形状に成形を行う場合には、複数の工程に分けて加工を行う事で荷重が押さえられ成形が容易にすることができます。場合によっては、素材に予備成形を掛けて材料の流動を促す事で成形を容易にする工程を入れる場合も有ります。鍛造加工において、加工開始時に大きな荷重が掛かりますが、予備成形を掛けておくことで荷重を下げることができ成形性が向上します。

また、成形時に掛けた荷重は、金型内で外に広がる方向に換わりに金型のダイスには加工都度応力が加わります。これが繰り返されると頑丈なダイスでも割れが発生する事もあり、ダイスは常に圧縮応力が加わる様に焼嵌め等を行い加工圧に耐えるダイス構造とする事も必要です。

潤滑処理について

型鍛造加工に限らず、プレス加工では潤滑処理(油)の活用が重要となります。単純な曲げ加工ではあまり問題となりませんが、絞り加工となると、パンチ、ダイスと材料の間に加工油が無いと焼付きの発生によりワークに傷が付くなどの不良となります。更に過酷な加工を行う鍛造加工では潤滑処理が重要となります。下図に鍛造加工時に施すボンデ処理(金属石けん処理)の例を示します。このボンデ処理は主に塊状の素材を鍛造加工する際に用いられます。

型鍛造加工の代表例

1.前方押出し加工

前方押出し加工では、塊状の素材に荷重を掛ける事で、荷重を掛けた方向と同一方向(前方)に成形される加工方法です。下図に様に塊状の素材にプレスをしていくと、素材は金型の形状に沿って前方へ成形されていきます。その際の材料素材の流れを矢印で表現しています、成形が進むにつれ、材料は中央部に集まり、更に小さいダイスに入っていきます。この際に材料の組織が切られる事無く成形されていきます。この組織を鍛流線や、ファイバーフロー(下写真を参照)と呼びます。切削加工では組織を削りとり形状をつくりますが、鍛造加工の場合には、組織が切れずに成形されますので、切削部品に比較し強度の髙い製品を実現する事ができます。

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今回は、プレス加工:冷間鍛造(前編‐前方押出し、後方押出し)について解説しました。
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