パイプ加工:パイプ材の製造方法について
本記事では、パイプ材の概要についてご紹介しています。ぜひご覧ください。

前回の技術コラムでは、パイプ加工技術の概要について解説させていただきました。
パイプ加工技術の概要を読んでおくと、今回のテーマの理解がさらに深まります。
まだご覧になっていない方は、ぜひ下記リンクよりご確認ください。
金属を塑性加工により成形する中で、パイプ材の「曲げ」「端末の成形」「切断」の方法は、平板の材料を加工する場合と少し方法が異なります。そこで、「パイプ加工」を述べる前に材料について説明をしておきたいと思います。
概要の所でも説明しましたが、パイプ部品の機能として「構造体の一部」と「流体を移送するもの」に分かれます。前者と後者で使用するパイプの種類も異なります。前者ではパイプの強度を指定した材料を選定し、後者は移送する流体の種類や移送圧力に耐える材料を選定します。
パイプ材の製造方法を、現在、最も使用量の多い「鋼管」を例に下図に示します。鋼管の製造は、継目無鋼管(一般にシームレス管と呼ぶ)と溶接鋼管に分かれます。

シームレス管は熱間仕上げ(約850℃に加熱し製造)と冷間仕上げ(大気温度中)に分かれます。熱間仕上げの材料に比べ、冷間仕上げの材料の方が、仕上がり精度が高いのが特徴です。熱間仕上げの材料は比較的厚肉、管径の大きいものが多い材料になります。シームレス管は、「溶接による継ぎ目」がないことから内圧がかかる様な圧力耐性が必要な部品や高荷重がかかる様な部品で、且つ疲労強度が高い部品に使用されることが多いと考えます。但し、シームレス管の場合には製造単価が高くなるため、使用される場所を限定されることが多いようです。それぞれの仕上げ方法毎の違いは下表をご覧ください。

もう一つのパイプの製造方法が「溶接鋼管」になります。溶接鋼管は「電気抵抗溶接管(電縫管と呼ぶ)」「鍛接鋼管」「アーク溶接鋼管」の3つに大別されます。この中ある、鍛接鋼管は最も古くから行われている製造方法で、母材を約1200℃に加熱し円筒形状に巻きながら圧力を掛けて、母材端面部を固相接合する製造方法になります。現在ではこの製造方法も電縫管に置き換わり鍛接鋼管の製造自体が非常に少なくなっています。
アーク溶接鋼管は更に「UOE鋼管」「スパイラル鋼管」「ベンディングロール・ベンディングプレス鋼管(板巻鋼管)」と言う様に材料の巻き方で製造方法が分かれますが、接合には「サブマージアーク溶接法」により接合され製造されています。アーク溶接鋼管は500㎜以上の大口径であり、一般的にプラント設備やインフラ設備などへ使用されることが多い材料と言えます。
当社でも使用量の多い電縫管の作り方について少しふれておきたいと思います。

電縫管の正式名称は、電気抵抗溶接管(ERW:Electric Resistance Welding Pipe)で、加工の概要は左図に示す様に。ロール形状の鋼板(鋼帯が正しい)をロールで丸めながら端面部を電気で溶かして接合して行きます。「電気」で「縫う」様にしてパイプが製造されていく状態を観て、製造現場の方が「電縫管」と呼ばれるようになったと言われています。

この電縫管は、電気抵抗溶接により合わせた面 同士を溶接するわけですが、溶接すれば「ビード」が生成されます。表側のビードは簡単に除去することができますが、パイプ内面のビードも流体を流すうえで邪魔な存在ですので溶接後に除去する必要があります、この溶接ビードは、左図の様に除去されています。溶接されたビードの直後にトリマーと呼ばれるビードを除去する工具を入れ、生成された溶接ビードを削り取っていきます。このトリマーは成形ロール側に固定されておりパイプの送り出しと同時に除去されるようになっています。
電縫管は鋼帯を丸めて溶接により接合するため、溶接部には焼きが入り硬化するなどの現象が発生します。このためパイプ製造メーカでは造管後に焼鈍を行いパイプ全体の組織の均一化を図られています。
同じ材質ではあるのですが、パイプの製造方法上の違いが加工性に影響を及ぼすことが有ります。現在生産されている材料は、JIS(日本産業機械)に規定されている機械的性質を満足するように製造されていますが、パイプの加工を進めていくと、成形形状が安定しないなどの現象に合うことが有ります。特に電縫管の場合では、素材の部分と溶接部では焼鈍処理がされていても、微妙に硬度や伸びが異なることで、曲げであれば「シワ」「割れ」が発生することが有ります。また、端末加工を行うことで端面形状が「いびつ」になるなどの現象が発生することが有り、お客様の図面を頂き加工方法の検討する時に、材料選定についても配慮することが必要となります。
本編ではパイプ材の製造方法について解説しました。
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